ドラムセットの各楽器の位置は、自分を中心とした同心円上にセットされていると叩きやすいです。
また、以下の順にセッティングしていくと効率的です。
①ペダルと椅子のセッティング。
②スネアドラムとハイハットの調整。
③タム類やシンバルの調整。
極論どのようにセットしても自由ではありますが、ここではスタンダードなセッティングについて解説していきます。
目次
キックペダルの取り付け
スタジオによってはキックペダルが取り外されている場合があります。
また自前のペダルを使う場合も、最初に取り付けておきましょう。
取り付け方は簡単、バスドラムのフープ(枠)をペダルで挟み、ペダル側のネジを締めればセット完了です。
挟む位置ですが、バスドラムのフープが床に接している中央あたりを狙うと丁度良いです。
椅子(ドラムスローン )の高さ調整
ドラムで使う椅子のことを、「ドラムスローン 」といいます。
ドラムのセッティングは、このドラムスローンを基準として全体を調整していくとやりやすいです。
なので先に椅子の高さを決めちゃいましょう。
椅子の高さ調整の方法は、主に2タイプ。
【スクリュー式】
椅子の支柱がスクリューロッドで、回して高さ調整するタイプのドラム椅子。
ロッドと座面がネジで固定されていて、座面を反時計回りに回すと高くなり、時計回りだと低くなる仕組みになっています。
三脚側のパーツは回り止めのロックで、これも反時計回りに回すと上がり、逆だと下がる仕組みです。
椅子の高さを決めた後にロックを端まで下げてネジ締めしておくと、それ以上低くならず高さを維持することができ、椅子も安定します。
【メモリーロック式】
椅子の支柱がパイプで、途中に取り付けられたメモリーロックで固定するタイプのドラム椅子。
ネジを緩めてパイプを上下させて高さ調整しますが、固定されたメモリーロックよりは下がらない仕組みです。
メモリーロックの固定にはチューニングキーが必要。
他にもガス圧で高さ調整する方式や、パイプに開いた穴へボルトを通して固定する方式などもありますが、上記の2タイプが主流です。
では実際にどのくらいの高さにしたら良いか。
まずドラムの椅子には深く座らず、背骨が椅子の真ん中にくるくらいの腰掛け具合で座ります。
この状態で足を上げた時に膝裏が直角になる位か、それよりやや高めの椅子の高さがオススメです。
極端に低いと腰を痛めやすいです。
【椅子がやや高めの場合】
【椅子が低い場合】
どうでしょう、椅子が低いと窮屈そうじゃないですか?
椅子が低いと腰回りに負担がかかりやすいので高めを推奨しますが、好みもありますので踏みやすさ次第で微調整してください。
スネアドラムのセッティング
椅子の次は、スネアドラムの高さや角度を決めます。
スネアドラムが乗っているスネアスタンドには、調整可能な箇所が4つあります。
このうち重要なのは、角度調整と高さ調整の箇所です。
スネアドラムの高さ調整は、高さ調整ネジを緩め支柱のパイプを上下させて行います。
スネアの高さは、打面が足の付け根から自分の骨盤辺り(おヘソの下あたり)の範囲で試してみてください。
続いてスネアの角度調整について。
角度調整ネジを緩めると、スネアドラムを載せるアーム部分の角度を調整できます。
スネアの角度は自分側にやや傾いているくらいが標準です。水平気味にする人もいます。
開き具合調整ネジは、スネアを載せるアームの調整に使いますが、アームの黒いゴム部分の内側にスネアが丁度納まっていればそのままで大丈夫です。
三脚の調整ネジも、スタンド自体が不安定でなければ使うことは少ないと思います。
スネアドラムの裏側には「スナッピー」と呼ばれる響き線が装着されていて、これによりスネアドラム特有のサウンドが鳴るようになっています。
スナッピーはスネアドラム横のスイッチでON/OFFが切り替わるようになっています。
メーカーや機種によって多少動作に違いはありますが、左右か上下にON/OFF切り替えることが多いです。
スナッピーのスイッチがOFFになっているとスネアドラム本来のサウンドが鳴りませんので、演奏前にチェックしておいてください。
ハイハットシンバルのセッティング
ハイハットのセッティングは、主に高さ・開き具合の調節をしていきます。
ハイハットの高さはスネアの打面から15〜20cmほど、開き具合は指1本入るくらいが標準的です。
ハイハットの高さ調整は主にハイハットスタンド中央のネジで行い、開き具合はシンバル上のネジで行います。
ハイハットを置く位置は、スネアと自分を結んだ線を軸として、キックペダルとハイハットのペダルが等距離になるような位置だと自然です。
タム・フロアタムのセッティング
タムは一般に「タムホルダー」と呼ばれるパイプやロッドで、バスドラムからセッティングされています。
調整箇所は3箇所。バスドラムと接しているホルダーの根元、角度調整するギアやボールの部分、タムと繋がっているパイプやロッドです。
タムもスネアドラム同様、自分側に若干傾けると叩きやすくなります。水平〜45°くらいの範囲で、しっくりくる角度を探ってください。
またタムがバスドラムに当たるほど低くセットしているのを見かけますが、音の余韻が止まったり傷を付ける原因になりますので、多少スペースを空けましょう。
メーカーによってタムの固定方式は違うので微妙に仕組みが異なりますが、ホルダーの根元から順に高さ・角度・距離を調整していく点はほぼ共通です。
続いてフロアタムの調整です。
フロアタムは3本の足で支えられているので、それぞれの足の長さを上下させて傾きや高さを調整します。
スネアドラムの高さと同じくらいにし、打面を自分側に少し傾けると叩きやすいです。
クラッシュ・ライドシンバルのセッティング
クラッシュシンバルやライドシンバルのセッティングは、シンバルが乗っているスタンドの高さや角度を調整して行います。
シンバルの高さですが、椅子に座った状態で目線から肩の高さの範囲にしておくとよいでしょう。
角度は、ほんの少し自分側に傾けると叩きやすいです。
またシンバルは叩くと揺れますので、叩いた際に他の楽器に当たらない位置にセットします。
下の写真ではクラッシュシンバルが肩より少し高め、ライドシンバルは肩より少し低い位置(タムより僅かに高く)セットしています。
シンバルの並びについて。
最近の主流は写真のように左からクラッシュ→ライド→クラッシュと並べるセッティングだと思いますが、ライドの位置にクラッシュを持ってきてもOKです。
ドラムのセッティング まとめ
ドラムセットの標準的なセッティングについて解説してきましたが、ポイントをまとめます。
① 自分から見て同心円状に配置していく。(各楽器の距離を均等にする)
② スネアとフロアタム、ハイハットとタムなど、横1列の楽器はなるべく高さを揃える。
③ 各楽器の角度は、水平にするか自分側にやや傾けると叩きやすい。
④ スタンドやホルダーのネジを緩める時は、重みで楽器が落ちてくるので支えておく。
叩いているうちに自身の好みやプレイスタイルが固まってくると思うので、ここでのセッティングを基本に微調整していってください。