どうもこつめです。
今回は私の趣味の1つであるドラムがテーマ。
ドラムを演奏する上で欠かせないドラムスティックの選び方について話します。
記事後半では、これまでに私が使用したことのある80種類のスティックから、おすすめスティックを紹介します。
目次
ドラムスティックの選び方のポイント
ドラムスティックは材質やサイズ、形状によって、音量や音質、演奏する感覚が変わってきます。
その為、プレイスタイルや演奏したい曲に応じて最適なスティックを選ぶのがコツです。とはいえ、どんなスティックを選べば最適なのか最初は見当がつかないと思います。
実際私も始めたばかりの初心者のとき、ドラムといえばX JAPANでしょ!とばかりに訳も分からずYOSHIKIモデルを使っていました。
それはそれで良いスティックなんですが、当時の自分に合っていたかとなると疑問です。自分に合ったスティックを使うと、ストレスなくプレイできるので上達も早いです。
自身に適したスティックを選べるよう、材質・形状・サイズとそれぞれの特徴や違いを見ていきましょう。
ドラムスティックの材質による違い
主にスティックは木材でできていますが、使用される木材によってサウンドや振り心地、打感などに変化があります。
よく使われている3種類の木材の違いを見ていきましょう。
ヒッコリー
クルミ科の木。定番の材質で種類も最も多いです。他の材に比べ適度なしなりがあり、折れるというよりはささくれるように消耗していきます。
音に芯があって程よい重さと耐久性があり、オールラウンドな材質です。最も愛用者が多い。
メイプル
メイプルシロップの木です。カエデですね。同じ長さ、太さであればヒッコリーよりも軽い。スティックのリバウンドと発音の反応が良く、比較的ジャズで愛用者が多い。
ヒッコリーに比べてスティックが真っ直ぐ入っていく感触があります。3種の中で一番折れやすい。でも木目が揃っていて個体差が少ないというメリットもあります。
オーク
樫または楢の木です。ヒッコリーより重く、音量・音圧を出しやすい。他の材より価格が安いことが多いです。パワフルなサウンドを出せますが、同サイズの他の材より重いためか愛用者が少ない印象があります。
個人的にオークはハンマーのイメージがしますね(笑)。というと印象良くないかもしれませんが、オーク材を自身のモデルとしているアーティストもいるのでダメな素材ということはなく、あくまで相性が良いかどうかです。
他にもアルミ、カーボン、紫檀、柿など様々ありますが、上記3種のモデルがほとんどです。
初めは、折れにくく性能のバランスが良いヒッコリーのモデルを選んでおけば間違いはないでしょう。
ドラムスティックの形状による違い
下の図はスティック各部の名称です。これをもとに各部の違いによる変化を見ていきましょう。
スティックのサイズ
ドラムスティックは長さが398〜407mm、太さが14〜14.5mm程度が標準的なモデルとされています。
この標準モデルの名称を「5A」、やや太めで15mm前後のモデルを「5B」と呼んでいるメーカーが多いです。
それではスティックのサイズや形状による違いを見ていきましょう。
スティックの長さ
長くなるほど重量と遠心力が増し、音量が出るようになりますが取り回しにくくなります。反対に短いとコントロールしやすくなりますが、音量・音圧は出しにくくなります。
スティックの太さ
太いと音量・音圧を出しやすくなります。長さや木材の個体差によっても変わりますが、太さ14.5mm程度まではしなりを感じるモデルが多く、それ以上太くなるとしなりを感じにくくなります。
ドラムに慣れていないうちは力みやすく、太めのスティックは持て余すことが多いので、長さが398〜407mm、太さが14〜14.5mm程度の標準的な5A相当のサイズを選ぶと良いでしょう。
もちろん、実際振ってみてしっくりくるならば、太めでも構いません。
テーパー
チップの根本であるネックからショルダーにかけての部分をテーパーと呼びます。この部分の長さや角度によって重心位置が変わり、コントロール性に影響が出てきます。
テーパーが長い(ロングテーパー)ほど手元に重心が移り、コントロールしやすくなります。
テーパーが短い(ショートテーパー)ものだと先端に重心が行くため、遠心力が増し音量も出しやすいですが、重さも感じやすくなります。
中間のものをミディアムテーパーと呼び、初心者にオススメするのはこのミディアムテーパーのタイプです。
チップの種類
様々な形状があり、音量・音質、打感への影響が大きい部分になります。
丸…当たる面積が一定のため、リバウンドとサウンドのばらつきが少ない。
樽…サウンドのばらつきが比較的少なく、当たる面積が増えるため音が太くなる。
ティアドロップ…サウンドに変化をつけることができるが、コントロールが難しくなる。
三角…点や面で当てるなどサウンドを変化させやすいが、コントロールに技術が必要。
他にもチップの形状は、樽型とティアドロップ型の中間で卵型をしたものや、弾丸の形をしたものなどメーカーやモデルによって多岐にわたります。
それに伴い名称も多少変わってくるのですが、大まかに分類すると上記のような傾向になります。
あまりにチップが小さかったり尖ったりと、形状が極端なものは癖が強いので最初は避けた方が無難です。
また、チップの材質をナイロンにしているモデルもあります。この場合は音像がはっきりとし、ドラムやシンバルに当たるタッチも少々硬くなります。
チップ形状については、安定したサウンドを得やすい丸型や樽型が無難だと思いますが、極端な形状でなければ好みで選んで良いでしょう。
有名なアーティストでも丸チップを使っていたりしますので、決してチップの形状が丸だから初心者用、プロは三角と決まっているわけではありません。
自分のプレイする音楽に対してどういうサウンドが必要かを念頭にスティックを選ぶことが重要です。
グリップの仕様
グリップの太さや仕上げによって、握り心地や指の使い方が変わってきます。
スティックは通常ラッカーやワックスで塗装されていますが、汗をかいても滑らないよう無塗装にしたり特殊加工をしているモデルや、逆に手が乾燥しやすい演奏者向けの塗装が厚いモデルなど仕上げにバリエーションがあります。
プレイ中に滑ってスティックが飛んでいってしまうと最悪演奏が中断されてしまうので、滑りやすいかどうかでスティックを選んでもいいくらいだと思います。
手に汗をかきやすい場合は、塗装が厚かったりグリップ部までカラー塗装してあるモデルは滑りやすいです。
他にもグリップエンドに金属を埋め込んでいるもの、握りやすくするためにグリップエンド部にかけて細くなっているものなど、各社個性的なスティックを出していますので、メーカーサイトをチェックしてどのようなモデルがあるか知っておくのも良いかもしれません。
続いて各メーカーの特徴を見ていきましょう。
ドラムスティックメーカーによる傾向
ドラムスティックは様々なメーカーによって作られています。各メーカーそれぞれに特徴があり、同様の材質やサイズのスティックであっても使用感が大きく変わってきます。メーカーごとの傾向は下記の通りです。
Vic Firth
世界最大のドラムスティックメーカー、ヴィックファース。スティックの反りのチェックは勿論、重量を2g単位に分けた上でピッチを測り、マッチングさせたペアを出荷しているので品質が安定しています。
全体的に振りがシャープで、木の詰まり方もちょうど良く、Vic Firth社の5Aタイプのスティックは世界的定番です。
Zildjianのスティックや、Pearlのスティックの一部も製作しています。
VATER
ベーター社は、木の密度が高くしっかりした振り心地で、細いスティックでも安心感がある。反り・重量・ピッチのチェックもきっちり行なっていて高い品質を誇ります。
木質が良いのか、数年放置したスティックでも反ったことがないです。
Pro-mark
プロマークは、以前は乾燥した木質で軽快なモデルが多い印象でしたが、最近では木材に焼き入れをし強度を増したスティックも発売しています。
また同じモデルでも前重心・後重心の2種類を用意したり、出荷時ペアの重量差を1.5g以内、音程差を6hz以内に抑えるなどバリエーションと共に精度にもより磨きをかけています。
ここまでがドラムスティックにおける三大メーカーです。
WINCENT
LOS CABOS
ウィンセント、ロスカボス両社とも日本での歴史は比較的浅いメーカーです。どちらも主要な三社に勝るとも劣らない品質ですが、定番モデル以外はやや高値で売られていることが多いです。
Pearl
パール。日本人向けのサイズ設定に強い。同じサイズ設定でもチップや仕上げの選択肢が豊富で良質なメーカー。日本で定番と呼ばれているスティックはVic Firth社とこのPearl社のスティックです。
TAMA
タマ。自然乾燥させた材を使う、ペアの重量差を±1gに抑えるなど、品質管理のしっかりしたメーカーです。主要メーカーに比べるとサイズや形状の選択肢が少な目です。
他にもZildjian ・ LERNI ・ PLAYWOOD ・ ROHEMA なども良いスティックを作っていますが、先に挙げたメーカーの品揃えから十分選択できると思います。
特にVic Firth、VATERは木材の質も良く値段もこなれているうえ、種類も豊富なので鉄板です。Pearlも丁度良いサイズ設定が魅力なので選択肢に入れたいところです。
オススメのドラムスティック5選
それではここまでの内容を踏まえ、オススメのスティックを紹介していきます。
今回紹介するのは全てヒッコリー・ミディアムテーパーのモデルで、サイズ表記は太さ×長さです。
1. Vic Firth / 5ABRL バランスが良くパワーも乗せやすい
通常の5Aはチップがティアドロップ型ですが、こちらはチップを樽型にしてあるモデルで、より初心者でも扱いやすい性格になっています。
やや先端側に重心があり、太さの割に音量が出しやすいです。同じサイズ設定で材質やチップ形状、塗装違いが用意されていて、各人の好みに合わせやすいのも魅力です。
2. Pearl / 110HC 日本の定番 振りやすいサイズ設定が絶妙
Vic Firth 5Aはやや先端寄りに重心がある為パワーを乗せやすいのですが、こちらは手元寄りの重心で振りやすいバランスになっています。
手元重心だとパワーを出しにくくなるところですが、太さとチップ形状でカバーする作りになっていますので音量もきちんと出ます。
定番なだけにサイズはそのままで無塗装、厚めの塗装、エンド部を絞ってあるモデルなどバリエーションも豊富です。
3. VATER / 8A 細めでも音量を出しやすい
もう少し細い・軽いものという条件であればVic Firth 8Dや7Aというモデルがありますが、音量を出しにくくなるので、オールラウンドに使用できるという前提だとこのくらいの太さが欲しいところです。
4. Vic Firth / 5B 太めの定番モデル パワーとコントロールの両立
太さが増す分重量も多少かさみますが、細いとしっくりこないという人や、音量を求める場合にはこのモデルを選んでも良いでしょう。樽型チップのモデルもあります。
5. 憧れているアーティストのスティック
上達する為にはモチベーションが大事になりますので、憧れているアーティストのスティックを使うことで気分が上がるならとても良い選択だと思います。
そのアーティストに憧れているということは、目指すプレイスタイルとスティックの特性が一致している可能性も高いです。
ただし自分の特徴に合わせて選んでいるわけではないので、スティックが太すぎて振り回される、自分は汗をかきやすいのにスティックの塗装が厚くて滑りやすいといったことが起きるかもしれません。
相性がピッタリなら良いですが、合わない場合は他のスティックを探しましょう。
良いドラムスティックの見極め方
しっかりしたメーカーのスティックならば既にペアリングされていますので、楽器店での購入より、通販の方が個体差の心配がなく安心です。
楽器店で購入する場合のデメリットは、メーカーでペアにしてあるものがバラバラに陳列されていたり、ペアでケースに入っていてもごちゃ混ぜにされていたりするので、選別の必要がある点ですね。
メリットとしては、多数のスティックに触れられる、実際に振ってみてイメージとのギャップを埋められるといったところでしょうか。
購入時には以下のポイントに注意してください。
木目を見る
なるべく木目が真っ直ぐに入っているものを選びます。木目が斜めに入っているものは折れやすいです。
といってもどんな木目が良いかわからないと思いますので、メーカーサイトや通販サイトの商品画像にあるような木目のものを探しましょう。
昔、斜めに木目が入っているスティックを使ったことがありますが、一発叩いて斜めに裂けました。叩き方も悪かったのだと思いますが、私のドラム歴の中でスティックを折ったのはこの一度きりです。
反り具合を確かめる
長期間在庫されているスティックでもなければ頻繁に反っているものでもありませんが、反っている場合には振った際に違和感があり、演奏に影響を及ぼします。
反りがひどい場合にはスティック同士を揃えただけでも隙間ができているのですぐにわかります。また、平らな場所に置き一回転させると反っているかどうかチェックできます。
ピッチを確かめる
スティックで頭を軽くコツコツと叩くとピッチがわかります。ピッチが揃ったものをペアにして試奏してみましょう。試奏は店員さんに断ってから行うのがマナーです。
重さを測る
個人的にはやらなくてもいいのですが、揃っていて悪いこともないので計りが置いてある店舗ではスティックの重さを調べます。
重さが大幅に違う場合には木の密度に差が出ていて、片方だけ手に伝わる振動が強いということも起こります。
重量を合わせるよりも、左右のスティックで違和感がないかを重視した方が良いと思います。
大きい音が必要なので太く長いスティックを使ったり、テンポの速い曲の演奏のためコントロール性を重視したスティックを使うというのは間違いではありませんが、持て余さない範囲のサイズを選ぶということが重要です。
長すぎても振れませんし、短すぎても逆にコントロールしにくかったりします。
試奏してみてしっくりきたなら、そのスティックがあなたの相棒です!
それでは良いドラムライフを!